
倒しても自然と起き上がってくる玩具、「おきあがりこぼし」。今回はその名前の意味について解説していきます。こぼしとは一体何なのか、由来を見ていきましょう。
「おきあがりこぼし」とは
「おきあがりこぼし」は、主に卵型の人形の底近くにおもりを付けることで、重心を利用して自然と起き上がることのできるおもちゃです。小さい子どものためのおもちゃですが、近年ではかわいらしい置物としてもよく売られています。
様々な国、地域でこの重心の原理を利用した玩具はありますが、日本では福島県会津地方で古くから伝わる郷土玩具のおきあがりこぼしが有名です。
「おきあがりこぼし」は何度倒しても起き上がるため、「七転び八起き」の意味が添えられており、「無病息災」「家内安全」といったご利益のある縁起物ともされています。
「おきあがりこぼし」の意味と由来
「おきあがりこぼし」は漢字で書くと「起き上がり小法師」と書きます。
「起き上がり」とは
「起き上がり」はその名の通り、何度倒しても起き上がってくることから付けられました。この意味は明解ですね。
「小法師」とは
問題は「小法師」です。どういう意味なのか?この言葉を辞書で引いてみましょう。
- 年若い僧。
- 中世・近世、御所に出入りし、掃除などをした身分の低い者。

今回の場合、1の意味になります。さらに言えば、「おきあがりこぼし」における「小法師」は単に「子ども」といったニュアンスを持っています。
おきあがりこぼしは約3cmほどの小さいものが一般的であり、またかわいらしい素朴な表情が描かれていることが多くあります。そうしたところからこの名前が付けられました。
つまり、「おきあがりこぼし」は「起き上がってくる子ども」というニュアンスの意味となります。こうして調べてみると、案外そのままのかわいらしい名前になっていますね。
別名「不倒翁」
おきあがりこぼしは、「不倒翁(ふとうおう)」とも呼ばれます。
「不倒」は「倒れない」、「翁」は「おきな」、おじいさんのことですね。古文でよく出てきます。
「倒しても起き上がってくる」というその強い生命力のような意味合いからこう呼ばれることもあります。
実際、このおきあがりこぼしという玩具には「七転び八起き」の意味が込められた縁起物になっています。
英語での「おきあがりこぼし」の名前
海外では「おきあがりこぼし」は何と呼ばれているのか、調査してみました。
そもそも日本にある、いわゆるダルマ形の玩具は先ほど述べたように福島県会津地方で郷土玩具として発達したものであり、全く同じ玩具はありません。ですが、重心を利用した似たような玩具が海外にもあります。
英語では、「roly-poly toy」と呼ばれることが多いです。
「roly-poly」は「丸々太った」「ころころした」といった意味があります。すなわち、「丸いおもちゃ」といったような意味になります。
海外でも案外、見た目そのままの名前で呼ばれています。
まとめ
「おきあがりこぼし」は「倒しても起き上がってくる子ども」といった意味で名付けられました。かわいらしいこの玩具は縁起物でもあります。