
今回は、以下の問題について詳しく解説していきます。
円孔を持つ無限板を一様な応力σ0で±x方向に引っ張る。
このときの応力分布を求め、最大応力が現れる箇所とその大きさを示せ。
このページはPart2・解答編です。Part1・準備編はこちらをご覧ください。
先にPart1を見ることをオススメします。
解答
それでは、解答です。準備編の式番号を用いている箇所があります。
2つの問題に分けて考える
円孔の中心に座標原点をとり、引張力の方向にx軸をとります。このとき、無限遠点の応力分布は

となっています。
これを、極座標(r,θ)で表すと、(6)式の変換によって

となります。すなわち、

となるので、この応力分布は

と

の2つの式の和として考えることができます。
(26)式で表される応力分布の問題を【問題1】、(27)式で表される応力分布の問題を【問題2】として、2つの問題に分けて考えましょう。
問題1
(26)式を言い換えると、この問題は以下のようになります。
内側の境界r=aでσr=σrθ=τrθ=0、外側の境界r=b→∞で一様な引張力σr=σ0/2が作用する円管の応力分布。

この問題を解いてみましょう。
境界条件は

ですので、一般解(22)式よりこの応力を求めると

となります。
ここで、b→∞であるので、(29)式より

と求まります。
問題2
続いて、(27)式について考えます。この問題は、以下のようになります。
内側の境界r=aでσr=τrθ=0、外側の境界r=b→∞で(27)式を満たす円管の応力分布。

境界条件(27)式より、この解が

となると推定できます。これを(12)式に代入すると、f(r)について

を得ることができます。
ここで、f=r2を代入すると特性方程式はλ(λ-4)(λ+2)(λ-2)=0となるので、この一般解は

です。ここで、(31)、(33)式を(9)式に代入すると、

となります。ただしここで、r=b→∞の条件(27)式より、C1=-σ0/4、C2=0、r=aの条件σr=τrθ=0より、C3=-σ0a4/4、C4=σ0a2/2となります。
2つの問題の和を考える
【問題1】と【問題2】より、この問題の応力分布は(30)、(34)式を足し合わせて、

となることがわかりました。
円孔境界r=aでの応力σθは、(35)式でr=aとおいて

となります。
この式より、θ=90°で引張応力の最大値σθ=3σ0、θ=30°でσθ=0、θ=0°で圧縮応力の最大値σθ=-σ0となります。
この極座標平面を、改めてx-y平面に直して考えてみましょう。y軸に沿ってのσxの分布は(35)式より

となります。
この式より、円孔境界y=aでσx=3σ0を最大値として、yの増加とともに急激に減衰してσx=σ0に近づきます。
最終的な解答
極座標(r,θ)での応力分布

最大応力を含むy軸に沿う応力分布

最大応力値は、円孔境界y=±a((x,y)=(0,a),(0,-a))で
