【弾性学】円孔を持つ無限板を一様な応力σ0で±x方向に引っ張る。このときの応力分布を求め、最大応力が現れる箇所とその大きさを示せ。【Part1|準備編】

勉強
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問題の図

今回は、以下の問題について詳しく解説していきます。

円孔を持つ無限板を一様な応力σ0で±x方向に引っ張る。
このときの応力分布を求め、最大応力が現れる箇所とその大きさを示せ。

このページはPart1・準備編です。Part2・解答編こちらをご覧ください。

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はじめに

この記事ページについて

この問題の解答は非常に長いため、2つの記事ページに分けています。

このページは解答の前編、準備編です。メインの解答はこちらをご覧ください。
(この準備ページを読んでから本解答のページを読むことをおすすめします。)

参考文献について

この問題は、私の大学のとある講義でレポート課題として出題された問題です。インターネット上に詳しい解説が見つからなかったため、まとめることにしました。内容としては発展的で少し難しい問題となります。

以下の文献より作成したため、この記事で理解が不十分だと感じた際には参考文献を参照ください。

記事内では一部導出を省略している箇所があります。

参考文献
小林繁夫,近藤恭平.弾性力学(工学基礎講座7).培風館.1987.5.p.74-81

また、導出の式は複雑であり、サイトの体裁を保つために式を画像形式にしています。画像が読み込まれる環境でご覧ください。

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解答の準備

このページでは、解答の前に解答に必要な変換式や条件式とその導出を記載します。

準備1.極座標変換

二次元の極座標(r,θ)を考えます。この座標変換は

1式

です。

極座標の図

この平衡方程式は

2式

であり、ひずみの変換表示式は

3式

です。

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応力とひずみに対するHookeの法則は、x-y座標と同じであり、平面ひずみの場合は

4式

平面応力の場合は

5式

です。

また、応力F*(x,y)からF*(r,θ)の変換式は

6式

と表されます。

偏微分は

7式

より、

8式

となるから、

9式

が導かれます。ここで、V(r,θ)=V(x,y)は物体力が保存力のポテンシャル関数であり、極座標での物体力成分R,Θ

10式

で表されます。(9)式は平衡方程(2)を満たします。

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(8)式を用いて、二次元のLaplacianは極座標では

11式

となるから、F*(x,y)が満たすべき適合条件式は

12式

と書かれます。

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準備2.軸対称問題

軸対称な荷重が作用する場合、軸対称な変形と応力分布が生じます。軸対称な変形について、

13式

が成り立つから、ひずみは(3)式から

14式

となり、Hookeの法則(4)式は(14)式を用いて

15式

となります。σr、σθはrだけの関係式ですので、(2)式の2行目の式は高等的に0となり成立します。

したがって、必要な平衡方程式は

16式

です。(9)式を(16)式に代入すると、F*rのみの関数であり、

17式

となります。

F*が満たすべき条件(12)式は

18式

となります。

ただし、軸対称の場合、(15)、(17)式から直接適合条件式を導くと

19式

が得られ、これは(18)式を一回積分したものになっています。この斉次方程式

20式

はオイラー型の微分方程式であり、その解はdF*/dr=r2を代入して特性方程式(λ+1)(λ-1)=0を得ることができます。

したがって、この一般解は

であり、R=-dV/dr=0のとき、応力分布は

となります。

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次ページではいよいよ解答に移ります。長いですが、頑張りましょう。

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